伝説……死後、花に蘇生するパターン……水仙


先回(3月25日)は「死んで花に蘇生」というパターンの伝説から、東京都世田谷区の「区花」でもあるサギソウを取り上げました。今回はギリシャ神話からスイセンです。

ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソス(ナルシス)は有名ですが、話の筋はややこしく絡み合います。順を追って流れをたどります。

IMG_1720 イラストの右側にちょこっと見えるのは、前回の「サギソウ」のイラストの左端です。上下が逆です。小さなスケッチブックの隅から隅まで使います。

預言者ティレシアスは、「あの少年は、自分の美しさを知らないままでいるなら長生きできるだろう」と予言します。

美の女神アフロディーテは彼に恋して受け入れられず、呪いをかけます。つまりナルキッソスが、自分を愛する者を拒まずにはいられないようにするのです。

そのため、彼を愛したアメイニアス(男性)は彼を自らのものにできないことを知って自殺します。次に森の妖精エコー(性別不詳)も彼に拒まれ、悲しみのあまり姿を失い、声だけを残して木魂(コダマ)となります。

自惚れを罰する女神ネメシスは、彼の愛が他人には向けられず常に彼自身に向けられるようにしくみ、山の泉におびき出します。山を歩いて喉の渇いた彼は、水を飲もうとして泉を覗きこみ、水に映る自分の美しさを知ってしまいます。最初のティレシアスの予言に従い、彼は長生きができない運命に入りました。

彼は自らの姿に恋い焦がれ、水辺を離れることができなくなって衰弱死するというのがプロット(A)、自らの姿を胸に掻き抱こうと両手を差し出し、身も乗り出して水に落ち、水死したというのがプロット(B)です。いずれも結末は、その場所に水仙が生え、美しい花が咲いた、となります。

彼の名ナルシスは、したがって欧米では水仙の呼び名になり、ナルシシズムは、自分の容姿に愛情を抱く自惚れ男をも指すようになりました。

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