塗りの基本 前編「カッティング!」


IMG_1201IMG_1198IMG_1197実はこれ、2014年8月25日にも取り上げた主題で、イラストもその記事から採録したものです。内容を書き直したら、思いがけず長い説明になってしまいましたので、2回に分けます。イラストは、説明なしのまま、今回掲載します。

植物画を描く場合、技術の上達を待つまでもなく、縁・輪郭の塗り方を正しい方向に直すだけで、仕上がり作品の見栄え・グレードは見違えるように改善されることがあります。

初心者の習作の一部、例えば花から下に伸びる花径などでは、左右の輪郭、つまり水彩用紙と茎との境界線がまことに頼りない表現になっていることが多いのです。

例えですが、歩く時の脚の運び方、食事のときのおハシの持ち方、これらは本当に千差万別です。しかしその結果が跡に残ることはありません。どう歩いても目的地には着きますし、どうお箸を握っても食事はおなかに入ります。しかし筆の使い方、運び方は、その結果が白い画用紙の上に明瞭に痕跡を残します。

草などでは、実際の茎は曲がりもコブもなく直線で構成されることが多いのでますが、望ましくない筆遣いで描いたものは垂直線が微妙に揺らぎ、節の上端と下端の太さ(実際は不変)が異なり、ある部分は二重線になったりボヤケが生じたりしています。特に二度塗り・重ね塗りの場合、塗るたびごとに重なりがズレていたりします。

塗り方の基本の基本、これ一つで作品の品位がラックアップできるのに、多くの方はあまり本気で聞いてくれないのです。植物画は、「丁寧に」「慎重に」が要求される細密画であることを、もう一度思い出してください。

ボクは、よく「カッティング」「クリア・カット」という言葉を説明に使います。ハサミや鋭利なナイフで紙を切断すれば、切断面はスッパリ、ギザギザも揺らぎも紙の繊維のもつれもない、きわめて明瞭な境界が生じます。このような、切断にも似た状態での塗り分けが理想です。

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