植物画ーモノサシの使い方……【Ⅰ】


植物画は実寸(実物大)で描きます。実寸で描けないような大きなもの、小さなものは、適切な大きさで描いた上に縮尺率や拡大率を明記します。紙に描いたものがどのくらいの大きさなのかが判らなければ、植物画に欠くことのできない「科学的に正確であること」という条件は根本のところで崩れてしまうからです。

そこでモノサシが必要になりますが、モノサシさえあれば大丈夫……とはなりません。表面を上(光の方向)に向けている葉は、目線が同じ高さなら幅はほとんど見えない(つまり平な葉の断面はほぼゼロ㌢)でしょうが、かなり上からの目線なら、葉の幅は数センチということにもなります。

だからお手持ちのモノサシをどのように構え、どこに当てて、どう測るか、これが重要なことがらになります。

結論から申し上げます。まず、剣山や花瓶に刺されたモデルと、自分の目との相対的な位置を決めます。机上でモデルとなる植物体の位置と向きを決め、描く自分の位置を決めます。加えて、自分の姿勢(つまり目の高さと向き、目線)を決めます。ここまでは、細かいデッサンを要求される場合ならみな同じです。

これで全体的な位置関係が決まりました。この位置関係は、モノサシを使うたびにズレたりしてはなりません。

ところでこのまま手を伸ばし、植物体の手前と向こう側にあるツボミをそれぞれ測ったとします。双方ともに同じ成長度にあるならば、大きさはほとんど変わらないでしょう。これでは遠近感などは表現できません。葉の幅や長さも、葉の向きや距離と無関係にモノサシを当てたのでは、、やはり同じ大きさになってしまいます。

そこで、例えばですが、描こうとする水彩用紙が透明だったなら……例えばです(末尾のイラスト参照)……これを植物体に寄り掛け、向こう側に透けて見える植物体の形を細部に至るまで克明になぞるように鉛筆を動かして映像を写し取ったとしたならば、紙上に描かれた線画は、まさに描こうとするデッサン線そのものになります。この「例えばという仮定」を、次回のためにしっかり記憶しておいてください。

あ、上のことで、いくつか注意するべきことがあります。透明と仮定した水彩用紙は、モデルに接した位置に置かなければ実物大に写りません。またその画用紙は、上下左右とも描く人からの距離はなるべく同じになっている必要があります。だから用紙は……、

①植物体の最前面のどこか(一点、あるいは前面の狭い範囲)に触れるように構えます。その一点だけは実寸大ですが、奥に行くほど、距離に応じて小さく見えることになります。

②画用紙は、描く人の目線に対して直角(目線紙が面に90°で突き刺さる関係になるよう)に設定されます。  IMG_0704

ところが、透明な画用紙などは存在しません。だからこそ、ある距離ごとにモノサシを使って距離・長さを測り、そのデータを机上の画用紙に写し取るのです。

次回【Ⅱ】は、その具体的な方法です。来週10月28日入稿予定です。

20年近く前に考案し、過去17年、ボクの教室で使い、市や県の講習会で使い、刊行物やネットでも機会あるごとに紹介してきたものです。今回のものは、20131002日にこのブログに掲載したものを全体的に改訂し、再登場させたものです。

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