無彩色(白・グレー・黒)のご案内


まず「黒」です。ホルベイン製なら3種類あるうち、よく使われるのは①アイボリーブラック、②ランプブラックです。ボクの教室では、創立当初は①を使いましたが、現在は②に替えました。イラストでは、①が右、②が左になっています。IMG_0626

①の原料は、名称はともかく象牙などでありません。一般の獣骨で、これを加熱して炭素化した、つまり骨炭です。替えたのは、絵具としての色が何となく茶っぽく、固めて使用する場合は水に溶けにくい、などの点を嫌ったものです。②の原料は松などの針葉樹の樹脂を焼いた炭化物、つまり煤(すす)です。アイボリーと言いランプと言い、何とも美しい名前を探し出すものです。

次に「白」。ところが白は、透明水彩絵具のシリーズとしては、ボクも生徒も持っていません。作画には、白い画用紙面の白さが絶妙で、遣い勝手もよい。色隠しなどの目的には、透明水彩絵具の白では役に立ちません。代わりに持っているのはポスターカラーの「ホワイト」ですが、これについてはまた別に書く機会を探します。ここでは「白」に因んで新しい色名を一つ覚えてください。

「オフ ホワイト(off white)」です。例えば象牙色。白とは言い切れない……微かながら黄味も漂い、消え去りそうな黒味も感じられる。色名には「象牙色」も「アイボリー」もあるからそれで済むと言えば済みます。では食用の牡蠣の色、鉛白、乳白色、……。これもそれぞれに別々の色名が付いていることは付いています……が、ほとんど同じ色。それを、それぞれの物体色そのままに付けて……。この場合、鉛白、牡蠣色、乳白色、オイスターホワイトなどなどの代名詞として「オフホワイト」と呼ぶことができるし、聞く方も、その色を十分想像できます。単純な割には響きがスマートです。

色作り? 簡単です。水を十分含んだ絵具の穂先を白い画用紙の中央に置き、水を広げます。同じ筆の穂先に、わずか加える色をチョコッと付け、今広げた水の上に素早く置くと、色を掻き消すかのように延ばす、それだけです。

「オフブラック」もあります。「チャコールグレイ」や「鉛色」がこれです。つまり「これ、クロ~?」などと見定めに悩んだとき、別の「黒そのもの」を見せられて、「あ、こっちは少し薄い、黒じゃない!」と気づいた場合、別の色名を探す代わりに「オフブラック……ね」と逃げられます。

もう一つ、無彩色のお話。色相環では、環状になった純色だけが整理されていて、無彩色などとの混色を表そうとすれば、立体の色票(図)になってしまう、と申しました。とすると、無彩色はどのように現れるのでしょう。答え:色相環を机の上に寝かせ、円の中心に柱を立てます。その柱には、上に白、次にオフホワイト、次第に下がって薄いグレー、グレー、濃いグレー、と無彩色のクラデーションが刻まれ、「白」になって終わります。底辺から上に広がる円筒形の空間は、それぞれの純色と、柱に刻まれた無彩色との混色で縦横隙間なくビッチリと埋め尽くされることになります。あり得る限りの明度と色相と彩度とのあらゆる混色が幾重もの層を成して、です。「図を描いて載せろ!」……? いえ~、御免被ります。サヨナラ。

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